睡眠時無呼吸症候群

1睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字から「SAS(サス)」ともよばれます。自分では睡眠中の呼吸の状態はわからないため、家族の方などに指摘されて医療機関を受診し診断される方もいらっしゃいます。しかし、実際には多くの睡眠時無呼吸症候群の患者さんは発見されないまま放置されていることが多い状態です。

睡眠中に呼吸停止が繰り返されると身体の中の酸素が減っていきます。すると寝ている間に脳や心臓には大きな負担がかかり、本人が気づかなくても、脳や身体が十分に休息を取ることができない状態になります。その結果、日中に眠気や倦怠感、集中力低下などが起こり、日中の様々な活動に影響が生じてきます。また脳や心臓、自律神経系などに負担がかかり続ける結果、高血圧や糖尿病、脳卒中や心臓病といった病気の原因になることがわかっています。

睡眠時無呼吸症候群のイメージイラスト

この病気が深刻なのは、自分で気がつかない睡眠中の無呼吸が、日中の活動に様々な影響を及ぼすことです。気付かないうちに事故や他の重大な病気の原因となり、日常生活に 様々なリスクが生じる可能性があるため社会的にも問題なっております。

SASは当院が専門とする心臓病や様々な生活習慣病との関連も大きいため、当院では睡眠時無呼吸症候群の診断と治療を積極的に行っております。

2睡眠時無呼吸の原因

SASには大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

いびきがひどい男性のイラスト

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)

睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなり、いびきが出現し、呼吸が困難となり、無呼吸が起こります。SAS の患者さんの9割がこのタイプです。上気道のスペースが狭くなる要因としては、肥満に よる首・喉まわりの脂肪沈着や扁桃肥大のほか、舌根(舌の付け根)、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋(口腔上壁後方の軟らかい部分)などによる喉・上気道の狭窄などがあります。

いびきがひどい男性のイラスト

中枢性睡眠時無呼吸(CSA)

脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常です。肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経には異常がないのに、呼吸指令が出ないことにより無呼吸が生じます。

心臓病、心不全の患者さんはこのタイプの無呼吸の合併が多いことがわかっています。

3睡眠時無呼吸症候群の検査

医学的には10秒以上の呼吸停止を「無呼吸」と言い、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に 30回以上、または1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と診断します。

睡眠時無呼吸症候群の検査には自宅で行う簡易検査(スリープテスタ)と1泊入院で行う精密検査(フルポリグラフ)があります。当院ではSASの疑いのある方にこれらの検査を行い、その診断と治療を行っています。

まずは簡易検査で睡眠時無呼吸の有無と程度を確認します。その結果、問題のある方は1泊入院で精密検査を行います。当院では簡易検査のみだけではなく、一泊入院での精密検査も可能です。

診断・治療の実際の流れとしては以下のようになります

  1. 外来受診・問診など
  2. 簡易検査機器(スリープテスタ)を持ち帰り、自宅での簡易検査を行います。誤差を少なくするために二晩続けて記録を行います。
  3. 簡易検査で異常(睡眠時無呼吸)のある方や精密検査の必要な方は1泊入院で精密検査 脳波なども含めたフルポリグラフを行います。16時ごろに入院していただき、夕食後に専門の生理検査技師が装置を装着して検査を行います。翌朝装置を外して、朝食後に退院となります。
  4. 睡眠時無呼吸の重症度によって治療方針の相談と治療の開始
  5. 定期検診・治療効果の確認
検査用ベッド

4睡眠時無呼吸症候群の治療

まずは生活習慣の改善が必要です。肥満気味の方の場合は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量も治療の一環になります。

生活習慣の改善以外の代表的な治療法には軽症例へのマウスピースや耳鼻咽喉科で行う外科的治療もありますが、日本や欧米で最も普及しているのはCPAP治療になります。

CPAP治療:経鼻的持続陽圧呼吸療法

「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとって、「CPAP(シーパップ) 療法」と呼ばれます。閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本 国内で最も普及している治療方法です。

CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐ ために気道に空気を送り続けて気道を開存させておくというものです。